奈良市杉岡華邨書道美術館はかな書の第一人者、文化勲章受章者の杉岡華邨氏を顕彰する書道専門の美術館です。

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杉岡華邨 すぎおかかそん

杉岡華邨　すぎおかかそん　本名正美　
大正2(1913)−平成24(2012)

大正２年奈良県吉野郡下北山村に生まれる。
漢字を辻本史邑、かなを尾上柴舟、日比野五鳳に師事。

昭和9年奈良県師範学校本科及び専攻科卒業､郷里の尋常高等小学校に奉職する｡習字の研究授業を命じられたのを機に、当時若手書家の登竜門であった文検(文部省師範学校中学校高等学校習字科教員免許状)をめざし本格的に書の勉強をはじめる。昭和15年文検(習字科)合格､その後奈良県立高等女学校教員を経て大阪第一師範学校勤務､大阪学芸大学講師を務め昭和53年大阪教育大学教授を定年退官するまで書道教育に尽力した。

また､書作家として日展特選(2回)､日展文部大臣賞､日本芸術院賞(昭和58年)等を受賞､昭和61年からは現代書道二十人展に参加｡平成元年には日本芸術院会員に就任するなど活躍した｡こうした功績が認められ平成７年文化功労者、平成12年には書の分野で5人目、かな書の分野では初となる文化勲章を受章した。

杉岡華邨略歴

大正2年　1913 　0歳

３月６日奈良県吉野郡下北山村に生まれる。

昭和9年　1934　21歳

奈良県師範学校本科及び専攻科卒業。
下北山村寺垣内第一尋常小学校勤務。

昭和10年 1935　22歳

この頃、習字の研究授業を命じられ、文検に向け本格的に書の勉強を始める。

昭和15年 1940　27歳

師範学校・中学校・高等学校習字科教員免許状取得(文検合格)。
漢字を辻本史邑に師事。

昭和21年 1946　33歳

この年のはじめより仮名を尾上柴舟に師事。

昭和23年 1948　35歳

大阪第一師範学校勤務。

昭和25年 1950　37歳

大阪学芸大学(現大阪教育大学)講師。
京都大学文学部へ聴講に通い国文学・美学・中国文学等を学ぶ。

昭和26年 1951　38歳

文部省内地研究員として京都大学文学部へ留学。研究テーマを「王朝文学にあらわれた日本書道について」とし、以後のライフワークとなる。
第七回日展に≪はるの田≫で初入選。

昭和32年 1957　44歳

日比野五鳳に師事。

昭和33年 1958　45歳

社団法人第１回日展に≪香具山≫で特選。

日展特選「香具山」(昭和33年･帖)　

昭和34年 1959　46歳

奈良県文化賞受賞。

昭和36年 1961　48歳

第四回日展に≪鹿≫で特選。

日展特選「鹿」(昭和36年･二曲屏風)

昭和39年 1964　51歳

第七回日展審査員就任。
翌年より、西田幾多郎門下の哲学者久松真一の下に通い、以後約十年間、思想的指導を受ける。

昭和45年 1970　57歳

大阪教育大学教授。
ＮＨＫテレビ「婦人百科」の｢書道-かな-｣に出演。以後昭和46年･48年の合計三回出演。

昭和47年 1972　59歳

文部省高等学校指導要領作成委員。以後昭和49年まで三年間勤める。

昭和53年 1978　65歳

大阪教育大学を定年退官。退官記念個展（大阪��島屋画廊）。
改組第十回日展に≪酒徳≫で文部大臣賞受賞。

日展文部大臣賞「酒徳」(昭和53年･額)

昭和55年 1980　67歳

朝日新聞社推薦個展(京都･朝日会館画廊)。

昭和58年 1983　70歳

第十四回日展出品作≪玉藻≫で日本芸術院賞受賞。

昭和59年 1984　71歳

奈良県吉野郡下北山村名誉村民。

昭和60年 1985　72歳

社団法人日本書芸院理事長、昭和63年まで二期四年間勤める。
勲三等瑞宝章受章。

平成元年 1989　76歳

日本芸術院会員。
　
「春を喜ぶ」(平成元年･日展･額)

平成2年 1990　77歳

日展常務理事。

平成3年 1991　78歳

社団法人全日本書道連盟名誉顧問。日本書道教育会議議長。

平成7年 1995　82歳

文化功労者。
　
「爽やか」(平成8年･日展･額)

平成10年 1998　85歳

｢かな書の美　杉岡華邨展｣ (朝日新聞社主催/銀座･松屋、大阪心斎橋大丸）。

「万葉の花」(平成9年･臨池会書展･六曲屏風) 　
画:中路融人

平成12年 2000　87歳

奈良市杉岡華邨書道美術館開館、館長に就任。
文化勲章受章。

平成13年 2001　88歳

奈良市名誉市民。

平成15年 2003　90歳

「万葉のうた・かな書の美　杉岡華邨展」（奈良県立万葉文化館）。

平成19年 2007　94歳

「杉岡華邨と臨池会選抜展」（山梨県なかとみ現代工芸美術館）。

平成20年 2008　95歳

成田山新勝寺開基1070年祭記念「杉岡華邨展」（成田山書道美術館）。

平成22年 2010　97歳

平城遷都1300年記念「日本代表書作家展」（奈良市美術館・奈良市杉岡華邨書道美術館）
　
「馬酔木」(平成22年･日本代表書作家展･軸)

平成23年 2011　98歳

「かな書の美―杉岡華邨の世界」展（アートスペースVISION）。
奈良市杉岡華邨書道美術館名誉館長。
「杉岡華邨と門人展」（奈良市杉岡華邨書道美術館）

平成24年 2012

3月3日逝去、享年98歳、従三位に叙される。
「杉岡華邨お別れの会」(大阪･リーガロイヤルホテル)
　
絶筆「近江京感傷」(平成24年･日本書芸院展･額)

平成25年 2013

「追悼 生誕100年 杉岡華邨展」(朝日新聞社主催/松屋銀座・大阪��島屋)

令和2年　2020年

下北山村杉岡華邨記念館開館（奈良県吉野郡下北山村）

令和4年　2022

「杉岡華邨 書作展」（三重県立熊野古道センター）
「没後10年 私が選ぶ杉岡華邨展」（奈良市杉岡華邨書道美術館）

令和5年　2023

「万葉歌から生まれた美の世界−杉岡華邨の書を中心に−」（万葉文化館）
「杉岡華邨生誕110年 華邨が書く尾上柴舟の歌とその時代」（奈良市杉岡華邨書道美術館）
「杉岡華邨生誕110年 五鳳と華邨―共に咲く師弟の歩み―」（奈良市杉岡華邨書道美術館）